公的年金制度では、基本的には、
(1)老齢になった場合
(2)病気やけがで障害を有することとなった場合
(3)年金受給者または被保険者(加入者)が死亡した場合
という3つの場合に、年金が支給されます。
|
老齢(退職)年金 |
障害年金 |
遺族年金 |
基礎年金 |
<老齢基礎年金 |
障害基礎年金 |
<遺族基礎年金 |
厚生年金 |
老齢厚生年金 |
障害厚生年金 |
遺族厚生年金 |
共済年金 |
退職共済年金 |
障害共済年金 |
<遺族共済年金 |
これらのうち、ここでは基礎年金と厚生年金の概要を非常におおまかに説明します。
(1)老齢年金
- ○支給要件
・原則として国民年金に25年以上加入していることが必要です。
・支給開始年齢は以下のとおりです。
- 〔老齢基礎年金〕
原則として65歳から受給できます。
60歳から受給することもできますが、その場合、年金額は減額されます(繰上げ支給)。
70歳まで受給を遅らせることもでき、その場合、年金額は増額されます(繰下げ支給)。
〔老齢厚生年金〕
現在は、報酬比例部分と定額部分からなる「特別支給の老齢厚生年金」が60歳から支給され、65歳からは報酬比例の「老齢厚生年金」が支給されます。
平成6(1994)年の法律改正により、「特別支給の老齢厚生年金」のうち、定額部分(1階部分)の支給開始年齢については、生年月日によって、以下のように65歳まで引き上げられることになっています。この引上げは、平成13(2001)年から平成25(2013)年にかけて行われます。
図表 特別支給の老齢厚生年金(定額部分)の支給開始年齢
(平成6年(1994)年改正による) |
|
特別支給の老齢厚生年金(定額部分+報酬比例部分)を受ける年齢 |
〔男子〕
生年月日 |
年齢 |
昭和16年4月1日以前 |
60歳 |
昭和16年4月2日〜昭和18年4月1日 |
61歳 |
昭和18年4月2日〜昭和20年4月1日 |
62歳 |
昭和20年4月2日〜昭和22年4月1日 |
63歳 |
昭和22年4月2日〜昭和24年4月1日 |
64歳 |
〔女子〕
生年月日 |
年齢 |
昭和21年4月1日以前 |
60歳 |
昭和21年4月2日〜昭和23年4月1日 |
61歳 |
昭和23年4月2日〜昭和25年4月1日 |
62歳 |
昭和25年4月2日〜昭和27年4月1日 |
63歳 |
昭和27年4月2日〜昭和29年4月1日 |
64歳 |
|
|
- ○年金の給付水準
- 夫婦とも65歳以上の世帯をモデルに非常に単純化して示せば、以下のような内容となっています。
(2)障害年金
○支給要件 |
・ | 年金に加入中の病気やけが等が原因で、障害を有することになった場合に支給されます。 |
・ | 障害発生までの被保険者(加入者)期間中に原則として被保険者(加入者)期間の3分の1以上の保険料の未納がなかったこと等が必要です。 |
○年金の給付水準 |
〔障害基礎年金〕
| ・ | 1級(両手の機能に著しい障害を有する人など) 2級の1.25倍。 |
・ | 2級(片手の機能に著しい障害を有する人など) 老齢基礎年金の満額と同じです。 |
〔障害厚生年金〕 |
・ | 老齢年金と同様、厚生年金加入中の賃金の平均と加入期間に応じて計算されます。 (加入期間が25年(300月)に満たないときには、25年加入したものとして年金額を計算します。) |
・ | 1級の人の年金額は2級に比べ1.25倍になります。 |
・ | 厚生年金には、2級より程度の軽い3級の障害厚生年金と、さらに程度の軽い場合の障害手当金(一時金)が設けられています。 |
(3)遺族年金
○支給要件 |
・ | 年金受給者や被保険者(加入者)が死亡した場合、その人に生計を維持されていた遺族に支給されます。 |
・ | 障害年金と同様、被保険者(加入者)期間中に原則として被保険者(加入者)期間の3分の1以上の保険料の未納がなかったこと等が必要です。 |
○年金の給付水準 |
〔遺族基礎年金〕 |
老齢基礎年金の満額と同じです。 |
〔遺族厚生年金〕 |
・ | 亡くなった人がその時点で受けるはずだった老齢厚生年金の4分の3になります。 |
・ | 加入期間が25年(300月)に満たずに被保険者(加入者)が死亡したときには、25年加入したものとして年金額を計算します。 |
|