発表日 : 11月20日(木)
タイトル : 11/20付:地球温暖化問題に関する中間取りまとめ[要旨]
− 目 次 −
はじめに
第1章 地球環境問題の現状
1 地球環境問題とは
2 地球温暖化の現状
(1)地球温暖化の要因
(2)地球温暖化とその影響予測
(3)気候変動枠組条約策定の経緯とその内容
(4)我が国の温暖化対策の現状
第2章 地球温暖化問題に対する情報通信の活用
1 情報通信の特性とCO2排出削減対策における役割
2 情報通信システムのCO2排出削減効果
(1)CO2排出削減効果を有する情報通信システム一覧
(2)定量的分析
(3)ケーススタディ
(4)定性的分析
3 情報通信を活用した地球温暖化の観測、モニタリング
4 情報通信の活用による地球温暖化に関する教育啓蒙、情報の提供
第3章 情報通信事業におけるCO2排出削減対策
1 情報通信事業のCO2排出量
2 電気通信・放送業界の取り組みの現状
3 他業界の動向
第4章 情報通信端末機器の低CO2排出対策
1 情報通信端末機器の稼働時消費電力削減
2 情報通信端末機器の待機電力削減
3 情報通信機器の消費電力及び待機電力に関する規制の現状
(1)エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法)による規制
(2)国際エネルギースタープログラム
4 ネットワークの高機能化によるCO2排出削減対策
第5章 政策提言
1 CO2排出削減効果の期待できる情報通信システムの普及の推進
2 情報通信産業における自主的計画策定の支援
3 情報通信機器の省エネルギー対策及びネットワークの高機能化の推進
4 情報通信を活用した地球環境に関する啓蒙・教育の推進
5 情報通信システムのCO2排出量や削減効果等に関するデータの蓄積
6 地球環境に関する観測・モニタリング
7 技術開発の推進
はじめに
本年9月の情報通信を活用した地球環境問題への対応についての諮問を受け、
当部会では、地球環境問題に関する専門委員会を設置、本年12月に京都で開催
される地球温暖化防止京都会議(COP3)に向け、地球温暖化問題に焦点を絞
って議論を重ねてきた。その現時点におけるとりまとめである。
第1章 地球環境問題の現状
1 地球環境問題とは
・ 地球環境問題は大きく9つの問題、すなわち、地球温暖化、酸性雨、砂
漠化、オゾン層破壊、生物多様性、森林破壊、海洋汚染、有害廃棄物の越
境移動、発展途上国の廃棄物問題からなる問題群として捉えるのが一般的
である。
2 地球温暖化の現状
(1)地球温暖化の要因
・ CO2等のいわゆる温室効果ガス(CO2、メタン、亜酸化窒素等)は、
1950年以降、人類の活動が質的量的に変化したことに伴い、世界全体
の人為的な温室効果ガス排出量が急激に増加している。
(2)地球温暖化とその影響予測
・ 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が行った分析によれば、現
在までの傾向が今後とも継続した場合、21世紀末には、大気中のCO2
濃度は、現在の約2倍に上昇し、地球全体の平均気温は約2℃、海水面は
約50cm上昇するとの予測がなされている。その結果、低地の海没、高
潮害の拡大、洪水や干ばつの頻発、伝染病の増加その他予測し得ない影響
が生じる可能性。
(3)気候変動枠組条約策定の経緯とその内容
・ 1988年、国連の下にIPCCが組織され、地球温暖化の予測や対策
等に関する世界各国の科学的・技術的研究成果の収集、分析を開始。
・ 1992年のリオ・サミットに際し、気候変動枠組条約が成立。先進国
については、温室効果ガスの人為的な排出量を2000年までに1990
年の水準に戻す努力を規定。
・ 同条約に規定のない2000年以降の温暖化対策については、第3回締
約国会議(COP3、本年12月京都にて開催)において、結論を得るこ
ととされている。
(4)我が国の温暖化対策の現状
・ 1990年に「地球温暖化防止行動計画」を決定。
・ 我が国のCO2排出量は、1995年現在、1990年比で1人当たり
6.9%、総量で8.1%増加。
・ 部門別にみると、産業部門においてはほぼ横這い、民生部門で15.5
%、運輸部門で16.3%増加。
・ 我が国のCO2排出量は世界4位、一人当たりでは、世界平均の2倍以上。
第2章 地球温暖化問題に対する情報通信の活用
1 情報通信の特性とCO2排出削減対策における役割
・ 情報通信の空間の超越という特性により、移動が代替されCO2削減。
・ また、情報通信の活用により、社会経済活動の効率化が進み、CO2の
排出量が削減される。
・ 適切な温暖化対策を講ずるためには、情報通信を活用した地球環境に関
する観測やデータの収集、情報提供も極めて重要である。
2 情報通信システムのCO2排出削減効果
(1)CO2排出削減効果を有する情報通信システム一覧
システムメニュー
|
関連エネルギ
ー消費部門
|
システムの概要
|
CO2排出削減効果
例
|
CALS/EDI
|
産業・運輸・
民生
|
電子データの活用により、製
造・流通・消費といった経済
活動を効率化するシステム
|
製造段階でのペパー
レス化、流通・消費
段階での効率化
|
電子出版・電子新
聞
|
産業・運輸・
民生
|
CD−ROM等の電子媒体に
より、雑誌、書籍、新聞等を
出版するシステム
|
紙使用(製造・流通
)の削減、紙廃棄物
の削減
|
遠隔生産管理
|
産業・運輸
|
遠隔地から工場での生産を制
御するシステム
|
無駄な生産の削減、
オペレータ移動の代
替
|
廃棄物・リサイク
ル情報システム
|
産業・運輸・
民生
|
廃棄物の管理や、リサイクル
情報の発信を行うシステム
|
リサイクルの効率化
|
ITS
|
運輸
|
高度なナビゲーション等の高
度な交通システム
|
交通流の円滑化によ
る渋滞の解消
|
共同輸配送システ
ム
|
運輸
|
統合納品や混載など、効率化
による積載率向上のためのシ
ステム
|
貨物車の交通量の減
少
|
遠隔検針システム
|
運輸
|
電気・ガス・水道等のメータ
を情報通信を用い自動的に検
針するシステム
|
職員訪問の省力化、
移動の代替
|
自販機POSシス
テム
|
運輸
|
自販機の中身の情報を各営業
所に発信し、適切な補充を行
うためのシステム
|
輸送車の無駄な走行
の削除
|
テレワーク
|
運輸・民生
|
情報通信を利用し、通勤等を
排除し効率的なワークスタイ
ルを形成するシステム
|
通勤交通の代替、オ
フィスビル増築の削
除、都市の分散
|
TV会議システム
|
運輸・民生
|
企業の拠点を通信回線で結び
、会議を行うためのシステム
替
|
出張・業務交通の代
替
|
電子窓口
|
運輸・民生
|
行政手続きのための窓口を近
隣に配置し、利用しやすくす
るためのシステム
|
行政機関までの交通
の代替、ペーパーレ
ス化による紙使用の
削減
|
電子メールシステ
ム等インターネッ
ト・アプリケーシ
ョン
|
運輸・民生
|
通信回線を通じ、コンピュー
タリーダブル情報をやりとり
するシステム
|
業務交通の代替、無
駄な紙使用の削減、
都市の分散化
|
遠隔医療・在宅医
療
|
運輸・民生
|
専門医の足りない地域での検
診、高齢者や動きの取れない
病人への検診のためのシステ
ム
|
通院・往診交通の代
替
|
遠隔教育・在宅教
育
|
運輸・民生
|
過疎地等の教育機関(分校等
)の充実、社会人や中退者等
の教育のためのシステム
|
通学交通の代替、学
校設備の効率化
|
オンラインショッ
ピング
|
運輸・民生
|
インターネット等により、自
宅にいながら、海外を含む様
々な店で様々な製品を購入で
きるシステム
|
買い物交通の代替、
通販カタログ等の紙
使用の削減
|
オンライン予約
|
運輸・民生
|
インターネット等により、自
宅にいながら乗り物、演劇、
コンサート等のチケットを予
約できるシステム
|
予約のための移動の
代替、結果として無
駄な移動の削減
|
電子決済システム
|
運輸・民生
|
オンラインショッピング等の
小口決算や電子マネーによる
決済等を可能にするシステム
|
決済のための金融機
関までの移動の代替
|
バーチャル・エン
タテイメント
|
運輸・民生
|
仮想空間等を用いて、あたか
も実体験をしたように思わせ
るシステム
|
レクリエーション移
動の代替
|
電子モール
|
運輸・民生
|
実際の店舗を使用せず商品を
販売するシステム
|
店舗維持・増設の削
減、在庫置き場維持
・増設の削減
|
電子図書館
|
民生
|
図書館にある蔵書を電子化し
、各家庭で閲覧できるように
するシステム
|
図書館への移動の代
替、図書整理、維持
のためのエネルギー
削減
|
ビル管理システム
|
民生
|
高度情報通信によって、オフ
ィス環境を自動制御するする
システム
|
業務環境の効率化に
よる省エネルギー効
果
|
エネルギー需給管
理システム
|
民生
|
地域のエネルギー需給を管理
するためのシステム
|
エネルギーの平準化
、需給の最適化
|
(2)定量的分析
試算結果(2010年の削減量)の概要
システム名
|
CO2削減量(炭素換算)
|
テレワーク
|
129万トン
|
ITS
|
110万トン
|
LANによる紙の削減
|
72万トン
|
ビル管理システム
|
40万トン
|
電子出版・電子新聞
|
26万トン
|
遠隔教育・在宅教育システム
|
4万トン
|
削減量合計
|
381万トン
|
(参考)我が国全体のCO2排出量・削減見込み
[1]今後、温暖化防止のための新たな措置をとらない場合、我が国のC
O2排出量は、2010年には、1990年比で20%(6200万
トン)増加し3億6900万トンとなるものと見込まれている
(気候変動枠組み条約第2回国別報告書)。
[2]地球温暖化防止京都会議(COP3)に向けて開催された関係審議
会合同会議においては、今後、新たな削減措置を講ずることにより、
2010年において、5、650万トンのCO2排出を削減すること
により、1990年と同じ排出量となると試算されている。
ア テレワーク
|
2010年におけるCO2排出削減量 合計129万t−C
|
|
・ 2010年のテレワーク人口(月2回以上テレワークを行う者の総数)
を2080万人と推計し、CO2削減要素(通勤、出張、業務移動の削
減等)とCO2増加要素(情報通信ネットワークの構築運用等)を考慮
して、CO2排出削減量を求めた。
・ 情報通信21世紀ビジョンにおける試算は、運輸部門における削減量
のみを試算し104万トンとなっていたが、今回は、これに、産業部門や
民生部門の増減を考慮し、上記の値となったもの。
イ ITS(高度道路交通システム)
|
2010年におけるITSよるCO2排出削減量 合計110万t−C
|
|
・ この値は、ITSを構成する様々なシステムのうち、[1]ナビゲー
ションの高度化[2]自動料金収受システム[3]交通管理の最適化の
3つのシステムの普及による削減効果を試算したもの。
・ 情報通信21世紀ビジョンにおけるITSの試算は、680万トンと
なっていたが、これは、ポテンシャル(理論的最大値)を試算していた
ため。
今回は、合同会議に向けたITS関係5省庁(警察庁、通商産業省、運
輸省、郵政省、建設省)の作業に基づき、実現性をより考慮した仮定に
修正した。
ウ LANの進展等による紙の削減
・ 2010年におけるCO2排出削減量
|
|
CO2排出削減量(万t−C)
|
洋紙・和紙の削減分
|
34
|
板紙の削減分
|
38
|
合計
|
72
|
|
・ 産業連関表、紙・パルプ統計を用いて、LANを導入した場合の伝票
・帳票類削減、プリンタ用紙削減などの紙消費量の削減ポテンシャルを
推計した。
エ ビル管理システム
・ 2010年までのビル管理システムの導入規模、及び、それに伴う熱
回収空調システムや自動調光照明システム等によるエネルギー消費の減
少量を想定。
オ 電子出版・電子新聞
・ 2010年のCO2削減量試算
|
電子新聞分
|
15万t−C
|
電子出版分
|
11万t−C
|
計
|
26万t−C
|
|
・ 電子出版・電子新聞は、最近開始されたばかりで、その実数も極くわ
ずかであるため、2010年における普及状況の有効な推計は困難。こ
こでは、1990年の書籍、新聞等の発行量の10%が電子出版・電子
新聞に移行すると仮定。
カ 遠隔教育・在宅教育システム
|
2010年における通学交通の情報通信への代替による効果 4.1万t-C
|
|
・ 2010年度児童・生徒・学生(以下、学生等とする)数を想定し、
遠隔教育・在宅教育を行った場合のCO2排出削減量について推計。
・ 交通の代替により、交通機関の利用が減少し、それに伴いエネルギー
消費が減少するものとした(自家用自動車での通学は考えない)。
キ インターネット
・ インターネットの利用がCO2排出に与える影響は、電子メールやWW
Wの利用による国際業務移動の代替(海外出張の削減)が、削減の原単
位が大きい故に注目される。
・ 今後、アンケート調査等により実態データを得て、インターネット利
用による国際業務移動の代替効果を定量的に見積もり、CO2排出削減
効果の試算を行う予定。
(3)ケーススタディ
ア セブン−イレブンにおける共同配送の実施
イ 菱食と相鉄ローゼンとによる卸−小売同盟の形成
ウ ファクトリー・ブティック方式の実現
エ 天神地区における共同集配送の実施とその評価
オ 川崎駅前地区における共同輸配送実験とその評価
カ 浜松市の住民サービス窓口分散化
(4)定性的分析
・ CALS/EDIについては、導入される分野が極めて広範であり、
各業界において果たす機能や普及の度合い等が大きく異なるので、定性
的な分析にとどめた。その結果は表のとおり。
・製造段階
事象
|
情報化の関わり
|
環境に関連する効果
|
主なCO2排出への影響要素
|
調達・取引情
報の電子化
|
CALS/ED
Iの進展インタ
ーネット、PC
通信の進展
|
伝票・帳票類の削減
受注ミス等の削減
|
(+)紙資源消費量削減
|
CAD等設計
・製造データ
の共有
|
CALS/ED
Iの進展イント
ラネット、LA
Nの整備の進展
|
中間段階の省力化
並立作業によるリー
ドタイムの短縮
業務目的人流の削減
ハードコピーの削減
|
(+)業務用エネルギー消
費量低減
(+)紙資源消費量削減
(+)人流交通量低減
|
・流通段階
事象
|
情報化の関わり
|
環境に関連する効果
|
主なCO2への影響要素
|
取引情報の電
子化
|
CALS/ED
Iの進展インタ
ーネット、PC
通信の進展
|
伝票・帳票類の削減
受注ミス等の削減
|
(+)紙資源消費量削減
|
店舗の電子化
・オンライン
ショッピング
|
インターネット
、PC通信の進
展
CALS/ED
Iの進展
|
購買目的人流の削減
在庫量の削減
中間流通削減
店舗建設削減
|
(+)店舗・倉庫建設資源
、エネルギー量等低減
(+)中間流通、購買移動
の人・物流交通量の低減
(−)潜在需要の顕在化に
よる生産量増加
(−)配送頻度増加等によ
る物流交通量増加
|
ECR/QR
の進展
|
CALS/ED
Iの進展メーカ
ーの生産管理
|
棚割管理等
無駄な生産削減
在庫量の削減
検品の簡略化
リードタイム短縮
伝票・帳票類削減
|
(+)紙資源消費量削減
(+)倉庫建設資源、エネ
ルギー量等削減
(+)廃棄物量低減
(−)配送頻度の増加等に
よる物流交通量増加
|
3 情報通信を活用した地球温暖化の観測・モニタリング
・ 情報通信を活用した地球環境の観測、モニタリングは、CO2濃度上昇
に伴う影響の解明等に大きく貢献するもので、確実で有効なCO2排出削
減対策の策定に必要不可欠。
4 情報通信の活用による地球温暖化に関する教育啓蒙、情報の提供
・ 国民のライフスタイルに密接に関係する民生部門及び運輸部門のCO2
排出量が一貫して増加している。このため、情報通信を活用して地球温暖
化の現状や必要な対策等に関する情報を的確に提供することにより、国民
の自発的な地球温暖化防止に向けた取組みが期待される。
第3章 情報通信事業におけるCO2排出削減対策
1 情報通信事業のCO2排出量
・ 電気通信・放送業界は素材産業やエネルギー産業に比べ、産業内での消
費エネルギーは少なく、情報通信産業のCO2排出量は非常に少ない。
・ 通信、放送の両産業部門に、情報通信インフラ建設に係る電気通信施設
建設部門を加えた3部門の部門内直接CO2排出量は約26万t−Cで、
国内総排出量の0.08%にすぎない。
2 電気通信・放送業界の取り組みの現状
(1)対策の分類
・ 電気通信事業・放送事業に用いる設備等に関連する対策と、企業として
の一般的な対策の2つに大別できる。
(2)事業用設備等に係る対策
・ 情報通信ネットワークは、全国的規模で多様な効用を持ち、また、TV
会議システムやITS等のCO2排出削減効果のある情報通信システムの
基盤となることからCO2排出負荷の低い社会インフラであるといえる。
・ 通信・放送事業の信頼性を担保するためのバックアップ用設備等につい
て、CO2排出削減目的の省エネルギー化等を行う場合は、信頼性を損な
わないよう留意が必要である。
(3)一般的な対策
・ 通信・放送事業者は一般的の企業としての側面も持つため、次のような
省エネルギー対策、CO2排出削減対策も必要となる。
ア オフィスの省エネルギー・省資源
イ 社会・地域貢献
(4)情報通信業界における取組の例
ア NTTにおける取組
イ NHK
ウ 民間放送(日本テレビ)
3 他業界の動向
・ 経団連では、本年6月に経団連環境自主行動計画を取りまとめ、行動計
画に参加している多くの業種はCO2排出削減数値目標を設定している。
・ 行動計画は毎年レビューされ、結果が公表される予定である。
第4章 情報通信端末機器の低CO2排出対策
1 情報通信端末機器の稼働時消費電力削減
・ 同一機能、同一サイズの機器については、省エネルギー化が漸進してい
るものの、大型化や多機能化等により、機器1台当たりのエネルギー消費
は増大の傾向。
2 情報通信端末機器の待機電力削減
・ 情報通信端末機器の消費電力は減少傾向にあるものの、利便性を重視し
た結果「待機電力」の発生が新たな問題として浮上。
・ 情報通信端末機器の待機電力は、通電待機がその機能の本質をなすもの
であることに留意する必要がある。
3 情報通信機器の消費電力及び待機電力に関する規制の現状
(1)エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法)による規制
・ 情報通信機器については、製造業者を対象に、省エネルギーの判断基準、
表示事項、エネルギー消費効率の測定方法等を規定。
(2)国際エネルギースタープログラム
・ 平成7年に策定され、日米欧を中心に進められている国際省エネマーク
制度。
4 ネットワークの高機能化によるCO2排出削減対策
・ 機器の単体レベルにおける省電力化に加え、ネットワーク網全体の通信
制御方法や稼働方法についての対策や新たな通信プロトコル等の技術開発
により、省エネ効果が得られるものと考えられる。
第5章 政策提言
情報通信の活用によるCO2排出削減促進のための政策の在り方
1 CO2排出削減効果の期待できる情報通信システムの普及の推進
|
・ テレワークの推進
今後、民間分野におけるテレワークの導入を一層推進するため、税制支
援制度や財政投融資制度の創設などを図る必要。
・ 高度道路交通システム(ITS)の推進
現在、関係省庁が共同でモデル実験のフィージビリスタディを行ってい
るところであるが、21世紀初頭の実現を目指して一層の推進を図る必要。
・ 環境負荷低減型情報通信システム導入の促進
遠隔会議システム等、環境負荷を低減する情報通信システムの導入を促
進するため、財政投融資制度など、政策的な支援措置を創設する必要。
・ 物流の情報化の推進
物流の情報化によるCO2削減を進めるため、共同輸配送の推進等に資
する移動通信システムなどの開発・普及を推進する必要。
・ 普及促進のための法制度の整備
テレワークの促進のための労働関係法制度の整備、伝票・帳票類削減効
果の促進のための商法や税法による規制の緩和など、CO2排出削減に資
する情報通信システムの普及促進等のための法制度の整備を図る必要。
・ 情報通信産業においても、CO2排出削減対策のための自主的な計画を
策定することが必要。国としては、自主的取組を支援することが必要。
3 情報通信機器の省エネルギー対策及びネットワークの高機能化の推進
|
・ 個々の機器の省エネ対策に加え、ネットワーク全体の通信制御方式や運
用方法の改善、新たな通信プロトコル等に関する技術開発等を進め、省エ
ネのためのネットワークの高機能化を一層推進することが必要。
4 情報通信を活用した地球環境に関する啓蒙・教育の推進
|
・ CO2削減社会の実現のため、様々な地球環境情報を収集・提供する情
報通信ネットワーク技術の研究開発とその導入・普及を推進する必要があ
る。
5 情報通信システムのCO2排出量や削減効果等に関するデータの蓄積
|
・ 情報通信とCO2排出に関連する様々な基礎的データの整備が必要。
・ CO2排出削減に資する情報通信システムについて、実際のCO2排出
削減効果を継続的、定量的に確認していくことが必要。
・ 全地球規模の現象を把握し、モデルによる影響評価・予測を行うために、
地球規模の観測・モニタリング技術の開発等を推進する必要。
・ 通信総合研究所等の国の研究機関における研究の推進の他、通信・放送
機構などの研究実施・支援スキームを活用して、民間におけるCO2削減
のための情報通信に関する研究開発の促進を図る必要。