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発表日  : 1999年 6月11日(金)

タイトル : BSデジタル・データ放送の実現に向けた制度整備





−電波監理審議会諮問−

 郵政省は、本日、BS−4後発機を利用したデジタル放送におけるデータ放送の実現に向け、放送番組の数の目標を5番組以上とすること等を内容とする制度案(放送法施行規則の改正、放送普及基本計画の変更、認定方針の策定等)を、電波監理審議会(会長 塩野 宏 成蹊大学法学部教授)に諮問しました。
 本制度案の策定に先立ち、昨年12月から本年1月にかけて参入希望等に関する調査を行ったところです。(結果は本年2月23日に報道発表)
 諮問した制度案のポイントは以下のとおりです。また、制度案の概要及びその理由は、別紙のとおりです。
(諮問した制度案のポイント)                             
1 日本衛星放送(株)のサイマル放送用に確保してあった6スロットは「データ放送」に用いることとし、合計12スロットによるBSデジタル放送のデータ放送に係る放送番組の数の目標を、一般放送事業者の放送として5番組以上とする。
2 BSデジタル放送のデータ放送について、一の者が保有可能な周波数資源の上限値を3スロット相当とする。
3 比較審査となった場合、
 1) より幅広い視聴者層を対象に放送するものを優先
 2) BS−4後発機によるデータ放送全体として多様な番組が提供されるよう配慮
 3) 既存放送事業者等の保有する議決権又は役員兼務の程度の少ない者を優先
 4) BSデジタル放送開始当初から相当程度遅れた時点を放送開始時期としているものは劣後するものとする
 なお、本制度案は、同審議会からの答申を経て10月に施行する予定です。
連絡先:放送行政局衛星放送課
担当:田尻課長補佐、長野企画係長
電話:03−3504−4999



別紙

BSデジタル放送におけるデータ放送に係る制度案の概要及びその理由

(1) 認定する委託放送業務の範囲【認定方針の策定】
今回、BS−4後発機について認定する委託放送業務は、改正前の放送法(現行制度)上の「データ放送」とする。
【理由】
1) 背景
ア BS−4後発機において、現在委託放送業務の認定が行われていない6スロット(日本衛星放送(株)(WOWOW)のサイマル放送用帯域を除く。)は、平成11年5月28日に公布された放送法の一部を改正する法律(平成11年法律第 58号。以下「改正法」という。(注1))による改正前の「データ放送(注2)」、すなわち、二値のデジタル情報を送る放送であって、瞬間的影像又は音声その他の音響に伴って送られる文字・図形その他の影像又は信号以外の文字・図形その他の影像又は信号を送るもの(以下単に「データ放送」又は「独立データ放送」という。)のために確保してあるものである。
イ 既にBS−4後発機においてテレビジョン放送又は超短波放送の認定を受けている委託放送事業者(以下「既認定事業者」という。)は、改正法の施行後は、アの「独立データ放送」を、テレビジョン放送又は超短波放送と併せ送り、テレビジョン放送又は超短波放送の一部として行うことも選択できることとなる。
2) 認定の選択肢
  上記1)を前提とした場合、今回、「独立データ放送」に係る委託放送業務の認
定の手順として、
(ア) 改正法の施行後に、既認定事業者はテレビジョン放送又は超短波放送と併せ送る文字・図形等に係る伝送容量の追加を申請し、新規参入事業者は「独立データ放送」について認定を申請し、両者を審査する
(イ) 改正法の施行前に、既認定事業者も新規参入事業者も「独立データ放送」について認定を申請し、当該認定後、テレビジョン放送又は超短波放送の認定と当該文字・図形等の認定の統合を希望する既認定事業者にこれを認める
ことの2通りが考えられる。
3) 選択肢の比較
 2)の(ア)の手順については、改正法の施行後に申請を受け付けることとなり、認定の時期によっては(2000年1月以後となることが想定される)、BSデジタル放送の開始予定時期である2000年末までに十分な準備期間がとれなくなるおそれがあるとともに、既認定事業者と新規参入事業者との間での比較審査が困難となる。
  一方、2)の(イ)の手順については、改正法の施行前に申請を受け付けることが可
能であり、本年内に委託放送事業者を決定することができる。なお、デジタル放送の特性である高度で多彩な放送を可能にするという改正法の趣旨が反映されないおそれがあるが、認定後、テレビジョン放送又は超短波放送の認定と当該文字・図形等の認定の統合を希望する既認定事業者にはこれを認めることとすることにより、改正法の趣旨を踏まえた運用を図ることが可能である。
 よって、今回は、改正法の施行前に「独立データ放送」、すなわち改正法による改正前の「データ放送」に係る委託放送業務について申請を受け付け、審査することが適当である。
  なお、改正法による改正前の「データ放送」に係る委託放送業務の認定とテレビジョン放送又は超短波放送の認定との統合については、改正法の施行に伴う関係省令等の整備において別途措置することとする。
(注1)放送法改正の具体的な内容(放送法第2条第2号の4及び第2号の5の改正)
 従来の定義による超短波放送及びテレビジョン放送のそれぞれに、それらと併せ送られる文字、図形その他の影像又は信号を含めるよう、超短波放送及びテレビジョン放送の定義の改正を行う。
(注2)データ放送の定義(電波法施行規則第2条第28号の4)
 「データ放送」とは、二値のデジタル情報を送る放送であって、テレビジョン放送及び超短波放送に該当せず、かつ、他の放送の電波に重畳して行う放送でないものをいう。

(2)データ放送に係る放送番組の数の目標の設定

【放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の変更】

1) 日本衛星放送(株)(WOWOW)のサイマル放送用に確保してあった6スロット「データ放送」に用いることとする。(データ放送用のスロット数は合計12スロットになる。)
2) これに伴い、データ放送に係る放送番組の数の目標を、一般放送事業者の放送として、5番組以上とする。
【理由】
<1)について>
ア BSデジタル放送におけるテレビジョン放送及び超短波放送については、既に放送普及基本計画に定める放送番組の数の目標を達成している。
イ BS−4後発機において放送法附則第20項(後述(3-3)の(注)参照)に基づく届出のなかったWOWOWのサイマル放送用周波数帯域である6スロットの用途について、先に行った意見募集で寄せられた意見27件のうち23件(注)がデータ放送に使用すべきとしている。
ウ 先に行ったデータ放送への参入希望調査において、希望する伝送容量(スロット数)の合計が、すでにデータ放送用として確保している空き容量(6スロット)の10倍を超えている。
エ デジタル技術を活かした多彩かつ多様なサービスが実現できるデータ放送は、BSデジタル放送の普及の牽引力の一つとなるものであり、限られた周波数資源の中でデータ放送に使用できる周波数資源を最大限確保することが適当である。
(注)その他、標準テレビジョン放送に使用すべきとする意見が2件、放送大学学園に割り当てるべきとする意見が1件、教養・教育番組に割り当てるべきとする意見が1件あった。

<2)について>
ア 1)により、データ放送に使用できるスロット数は12スロットとなるが、この限られた12スロットの中で、できるだけ多様な番組が提供されることが望ましいと考えられる一方で、データ放送の番組のそれぞれが充実したものであることも必要であることから、後述(3-2)のとおり、一の者が保有可能な周波数資源の上限値を3スロットとしているところである。
  ここで、この12スロットは、第1ch、第3ch、第13chのそれぞれに各2スロットずつ、第15chに6スロット(合計12スロット)あり、中継器が異なるスロットをまとめて使用して一の放送番組として送信することは現実的ではないことから、最低限確保できる放送番組の数は5番組となる。
  しかしながら、
・先に行ったデータ放送への参入希望調査によれば、3スロット未満の比較的少ない伝送容量(スロット数)を希望する事業者も予想される。
・データ放送は、テレビジョン放送や超短波放送のように技術的に1番組当たりのおおよその伝送容量(スロット数)が定まる放送ではなく、送信する情報の量・品質・更新頻度などによって1番組当たりの伝送容量(スロット数)が左右されるものであるため、あらかじめ使用される伝送容量(スロット数)を特定することは困難である。
 よって、5番組以上のどの程度の番組数を認定するかについて、あらかじめ数の目標を明確にすることができないため、データ放送に係る放送番組の数の目標は「5番組以上」とすることが適当である。
  
イ NHKについては、データ放送に使用できる周波数資源が12スロットと、予想される参入希望に対して希少であるという状況にある中で、
(ア) すでにBS−4後発機において標準テレビジョン2番組の認定を受けており、更に高精細度テレビジョン1番組も認定を受ける予定であること、改正法の施行後は、これらテレビジョン放送の中で「データ放送」を実施できるようになる。
  この場合、
・高精細度テレビジョン放送については、技術革新などにより伝送容量の効率的利用に関し工夫の余地があること、また、標準テレビジョン放送については工夫の余地が相対的に少ないが、BSアナログ放送で行われている番組のサイマル放送が本来の性格であること
・公共放送として激しい雨の際にも安定した受信を可能とするための降雨減衰対策を行うことは適切なことであるが、高精細度テレビジョン放送及びBSアナログ放送の衛星第2チャンネルのサイマル放送である標準テレビジョン放送への伝送容量(スロット数)割当てにおいては、降雨減衰対策ということも考慮されていること、また、常時、降雨減衰対策として2スロットを使用する必要は必ずしもないこと
(イ) 仮に、NHKの放送番組に「データ放送」のためのスロットを新たに追加して割り当てた場合、一般放送事業者とのバランスを考慮する必要が生じ、新規参入の機会が大幅に減少しかねないこと
から、NHKに対するデータ放送のための新たなスロットの追加割当ては行わないこととする。

(3) 委託放送事業者へのスロット割当て方法
(3-1) 認定の単位スロットの設定【認定方針の策定】
1) 認定に当たっては「単位スロット」を設け、その整数倍の伝送容量(スロット数)を指定して認定するものとする。
2) 1)の「単位スロット」は0.5スロットとする。
【理由】
<1)について>
  認定の際に指定する伝送容量(スロット数)に単位を設けない場合、
ア サービス性、申請容量を考慮した水平的な比較審査が困難となり、また、データ放送に割り当てることが可能な12スロットの枠内で中途半端な空き容量が発生し、数少ない周波数資源の一部が死蔵されること
イ TS(注)は整数スロットにより構成される必要があるが、適当な単位が存在しないと、TSを構成する際、細分化された複数事業者のスロットを束ね整数スロットにする際に事業者の負担が重くなる可能性が大きいとともに、受信機設計の複雑化及びこれに伴うコストの増大が想定されることから、単位スロットを設けて、当該単位スロットの整数倍の伝送容量(スロット数)を指定して認定することが適当である。
<2)について>
  単位スロットを設定するに当たっては、以下の諸点を総合的に勘案し、  0.5スロットとすることが適当である。
ア 放送法の理念から、より多くの事業者に参入の機会を与えることが適当であり、そのためには単位は小さい方がよいこと
イ 他方で、単位を細かい数値にすると、最小単位のスロット数では十分な品質・情報量のデータ放送サービスの提供が困難となること
ウ 超短波放送で既に認定を受けた事業者の中に結果として0.5スロット単位の事業者もあり、これらの者のTS(注)を整数スロットにすることを容易にする途を初めから閉ざすことは適当でないこと
エ 先に行ったデータ放送への参入希望調査において、1.5スロットでの参入を希望する事業者があったこと
(注)TS(トランスポート・ストリーム)とは、BSデジタル放送の伝送方式に採用されており、複数番組における映像、音声、データのそれぞれを分割し、必要な情報を付加したスロットを順次並べた1本のデータ列である。委託放送事業者は、1つのTSを、他のTSとは無関係に、あたかも1つの中継器のように使用することができる。

 (3-2) マスメディア集中排除原則の設定【放送法施行規則の改正】
 BSデジタル放送のデータ放送について、一の者が保有可能な周波数資源の上限値を3スロット相当とする。
【理由】
  BS−4後発機の各中継器においてデータ放送に用いることとするスロット数は、第1ch、第3ch、第13chのそれぞれで各2スロットずつ、第15chで6スロット(合計12スロット)となるが、中継器が異なるスロットをまとめて使用して一の放送番組として送信することは現実的ではない。
  この場合、
ア 第1ch、第3ch、第13chの2スロットとの公平性を確保する観点から、一の者が保有可能な伝送容量(スロット数)の上限を2スロットとすると、多様なデータ放送サービスの発展の可能性を大幅に制限するおそれがある。
イ 他方、一の者が技術的にまとめて使用が可能なスロットは最大6スロット(第15ch)であるが、一の者が保有可能な伝送容量(スロット数)の上限を「6スロット」とすると、データ放送は伝送容量の多寡がそのサービス内容に大きく影響することから、他の2スロットしか使用できない事業者に比べて、一事業者のみに相対的に突出して優位な状況を生み出すこととなり、データ放送における公正競争上適当とは言えない。
  よって、データ放送サービスの発展の可能性及びデータ放送における公正競争の観点から、一の者が保有可能な伝送容量(スロット数)の上限は「3スロット」とすることが適当である。

【参考】BSデジタル放送において一の者が保有できるスロット数の上限値[現行制度]
 BSデジタル放送全体     24スロット(1/2中継器相当)          
うち テレビジョン放送        22スロット                
超短波放送            1スロット                   

(3-3) データ放送に係るサイマル放送の届出【郵政大臣告示の制定】
 放送法附則第20項(注)に基づくデータ放送に係るサイマル放送についての     
届出の期間を、告示の日から起算して14日間とする。                
【理由】
 現在BSアナログ放送において、衛星デジタル音楽放送(株)(セントギガ)がデータ多重放送を行っているところであるが、この放送のBS−4後発機におけるサイマル放送(第3chの0.25スロット)についての届出期間が、放送法施行規則附則第6項により別に告示で定めることとされていることから、届出期間を定める必要がある。
イ 標準テレビジョン放送に係るサイマル放送の届出期間については、同附則第6項により14日間と定めた。
(注) 放送法附則第20項の内容
   BSアナログ放送を行っている放送事業者が当該放送の放送番組と同一の放送番組を同時にBSデジタル放送においても委託放送業務により行おうとする場合に、その旨を郵政大臣に届け出たときは、当該委託放送業務について郵政大臣の認定を受けたものとみなされる。

(4) 委託放送業務の認定について比較審査となった場合の基準
【認定方針の策定】

 委託放送業務の認定に係る審査は、まず、放送法関係審査基準第7条各号(注1)に適合するか否かにより行われるが、これら各号すべてに適合する申請者に指定することのできる周波数資源が不足する場合においては、適合する申請者の間で比較して選定を行うこととなる(比較審査)。                  
 この比較審査においては、同審査基準第8条(注2)により、同審査基準第7条第1号から第4号までに適合する度合いからみて最も公共の福祉に寄与するものが優先すると規定されている。                          
 BS−4後発機におけるデータ放送に係る委託放送業務の認定について、比較審査となった場合、同審査基準第8条の運用においては、既に審査基準に明示されているもののほか、以下のとおりとする。                     
(注1)(注2) 別添審査基準参照。

1) より幅広い視聴者層を対象に放送するものを優先する。              
【理由】
ア BS−4後発機においてデータ放送に使用できる周波数資源が限られていることから、できる限り多くの視聴者がBSデジタル放送のメリットを享受できるようにすることが適当である。
イ BSアナログ放送は既に全国約1,000万世帯において視聴されており、これらの受信者が円滑にデジタル放送に移行することがBSデジタル放送の普及にとって重要であると考えられる。このため、例えば、特定の地方向けの内容を委託放送事項とするものよりも全国向けの内容を委託放送事項とするものの方が優先するなど、より幅広い視聴者層をその放送の対象とする放送番組を優先させることが適当である。

2) BS−4後発機によるデータ放送全体として多様な番組が提供されるよう配慮する。
【理由】
  デジタル技術を活用して行われるデータ放送はBSデジタル放送の普及の牽引力の一つとなることが期待されるものであること、BS−4後発機においてデータ放送に使用できる周波数資源が12スロットと限られたものであることから、視聴者に対して特定の分野に偏らない多様な放送番組が提供されることが適当である。 

3) 既存放送事業者(既にBS−4後発機において認定された委託放送事業者を含む。)、及びこれら既存放送事業者を支配する者又は支配される者の保有する議決権の合計又は役員兼務の程度の少ない者を優先する。この際、既存放送事業者等が保有する放送系の数、放送番組の数、伝送容量(1秒当たりのシンボル数等を勘案するものとする。
【理由】
ア 放送法第52条の13第1項第3号の「委託して放送させることによる表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにする」という基本的考え方に基づき、BS−4後発機において使用できる限られた周波数資源をできるだけ多くの者に開放し、それを用いてより独立性の高い放送事業者ができるだけ多数参入することにより、自由な言論や表現を行う場が確保されることが適当である。
イ また、既存放送事業者のうちでも、その保有するメディアの位置付け、放送番組の数、伝送容量によって、社会的影響力、表現の機会、伝達できる情報量がそれぞれ異なることから、これらを勘案して比較審査を行うことが適当である。

4) BSデジタル放送開始当初から相当程度遅れた時点を放送開始時期としているものは劣後する。
【理由】
  BSデジタル放送は平成12年(2000年)末の放送開始を予定しているが、周波数の有効利用及びBSデジタル放送の円滑な普及を図る観点から、この開始の時点からあまり遅れをとることなくデータ放送も開始されることが適当である。



(別添)

放送法関係審査基準(平成6年9月達第5号)


(認定の基準)
第7条 認定は、次の各号に適合していると認めるときに行なう。
(1) 受託放送役務の提供を受けることが可能であること。
 放送普及基本計画(昭和63年郵政省告示第660号)に基づき、受託国内放送又は受託内外放送をする無線局の免許を受けた者において、現に受託放送役務の提供をしていない周波数があり、申請に係る委託放送業務を確実に実施できること
(2) 委託放送業務を維持するに足りる財政的基礎があること。
 委託放送業務が確実に開始され、かつ、継続的に運営されることを確保するため、財政的基礎が次に適合すること。
ア 事業開始までの所要資金の調達見通し
 事業開始までに必要な資金の調達が可能であり、かつ、その方法が適正なものであること。
イ 事業開始以後の継続性
 事業収支見積については、各年度毎に費用が適正に算出され、収入は合理的な加入予測を基に算出された内容のものであって、事業開始以後において継続的な運営を確保するための資金計画に妥当性があること。
(3) 委託して放送をさせることによる表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするためのものとして規定される規則第17条の8に合致すること。
 この場合において、規則第17条の8第4項の規定に基づき、一の者が法人又は団体の議決権の3分の1以上の議決権を有しているか否かの判定は、一の者の名義に係る議決権のほか、次のアからウまでに定めるところにより、これらの議決権を合算して行うものとすること。
ア 一の者が自己の計算により議決権を有する場合、その議決権に係る株式の所有者の名義が異なっていても、その議決権は、当該一の者の有する議決権とするものとする。
イ 一の者が議決権の2分の1を超える議決権を有する法人又は団体が、委託放送業務を行おうとする者の議決権を有する場合、その議決権は、当該一の者の有する議決権とみなす。
ウ イの規定は、委託放送業務を行おうとする者の議決権を有する法人又は団体と一の者との間にこれらの者と議決権の保有を通じた関係にある一又は二以上の法人又は団体(以下「関連法人等」という。)が介在している場合(関連法人等及び当該法人又は団体がそれぞれその議決権の2分の1を超える議決権を当該一の者又は他の関連法人等(その議決権の2分の1を超える議決権が当該一の者又は他の関連法人等によって保有されているものに限る。)によって保有されている場合に限る。)に準用する。
(4) 認定をすることが放送の普及及び健全な発達のために適切であること。
 別紙の基準に合致すること。
(5) 当該業務を行おうとする者が、法第52条の13第1項第5号イからリまでの各規定に該当しないこと。

(優先順位)
第8条 前条各号に適合する委託放送事業者に指定することのできる周波数が不足する場合
には、同条第1号から第4号までに適合する度合いから見て最も公共の福祉に寄与するものが優先するものする。
別紙(第7条関係)
 第7条(4)による審査は、関係法令、放送普及基本計画、放送用周波数使用計画によるほか、下記の基準によることとする。


2 その放送番組の編集は、次に掲げる事項に適合するものでなければならない。
(1) 公安及び善良な風俗を害しないこと。
(2) 政治的に公平であること。
(3) 報道は、事実を曲げないですること。
(4) 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
3 教育的効果を目的とする放送を専ら委託して行なわせる者であるときは、次に掲げるところに合致するものであること。
(1) 一週間の放送時間において、教育番組の放送がその50%以上を占めるものであること。
(2) 学校教育のための放送又は社会教育のための放送の分量及び配列が当該放送の意図する効果をもたらすために適切なものであること。
(3) (1)に規定する放送以外の放送を委託して行なわせるときは、その内容、分量、及び配列が(1)に規定する放送を委託して行なわせることに支障を与えないものであり、かつ、その放送の効果を阻害しないものであること。
4 臨時かつ一時の目的のための放送を専ら委託して行わせるときは、その放送番組は、当該目的の達成のために必要な範囲内のものであること。
5 テレビジョン放送を委託して行わせる放送事業者は、静止し、又は移動する事物の瞬間的映像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるものであること。
6 申請者(法第3条の5に規定する放送を専ら委託して行わせる委託放送業務の申請者を除く。)は、放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じた放送番組の編集の基準を定め、かつ、その基準に従って放送番組の編集及び放送を行うものであること。
7 放送番組の編集の基準を定め、又は、変更した場合には、法第3条の3第2項の規定により、これを公表するものであること。
8 申請者は、法第3条の4第1項に規定する放送番組審議機関を設置するものであること。
9 教育番組については、その放送の対象とする者が明確で、内容がその者に有益適切であり、組織的かつ継続的であるようにするとともに、その放送の計画及び内容をあらかじめ公衆が知ることができるようにするものであること。この場合において、当該番組が学校向けのものであるときは、その内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するものであること。
10 学校向けの教育番組の放送を委託して行わせる場合には、その放送番組に学校教育の妨げになると認められる広告を含めるものでないこと。
11 その業務は、毎日放送を委託して行なわせるものであること。
12 申請者は、特定の者からのみ放送番組の供給を受けることとなる条項を含む放送番組の供給に関する協定を締結するものでないこと。
13 受託内外放送を委託して行わせる場合には、放送を通じた国際的な文化交流及び相互理解の増進が図られるものであること。
14 申請者は災害に関する放送を行うものであること。
15 その業務が放送試験業務を委託して行なわせるものであるときは、1から13までの条件を満たすほか、次の条件を満たすものでなければならない。
(1) 試験、研究又は調査の目的及び内容が法令に違反せず、かつ、公共の福祉に寄与するものであるとともに、放送及びその受信の進歩発達に必要なものであること。
(2) 試験、研究又は調査の計画が合理的なものであること。
(3) 放送番組は、その業務の目的とする試験、研究又は調査のために必要な範囲内のものであり、他人の営業に関する広告を含むものでないこと。



BS-4後発機を用いたデジタル放送における

データ放送に係る委託放送業務の認定に係る認定方針(案)


 BS―4後発機を用いたデジタル放送におけるデータ放送の委託放送業務の認定に当たっては、関係法令、放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画によるほか、下記の方針によるものとする。

1 認定する委託放送業務
(1) 今回、BS−4後発機について認定する委託放送業務は、二値のデジタル情報を送る放送であって、瞬間的影像又は音声その他の音響に伴って送られる文字・図形その他の影像又は信号以外の文字・図形その他の影像又は信号を送るもの(放送法の一部を改正する法律(平成11年法律第58号。以下「改正法」という。)による改正前の「データ放送」。以下単に「データ放送」という。)とする。
(2) 既にBS−4後発機においてテレビジョン放送又は超短波放送の認定を受けている者が、(1)のデータ放送の認定を受け、改正法の施行後に、当該データ放送の認定をテレビジョン放送又は超短波放送の認定に統合することを希望する場合は、別途制度整備の上、これを認めることとする。

2 認定の単位スロット
  BS−4後発機を用いたデータ放送に係る委託放送業務の認定に当たっては、
使用できる周波数資源が限られていること等を踏まえ、1秒当たりのシンボル数300,625個(0.300625Mbaud:0.5スロット)の整数倍のシンボル数を指定して認定するものとする。

3 NHKと関連性のある団体の取扱い
   申請者が、日本放送協会(以下「協会」という。)との関連性があるとして、
次のいずれかに該当する場合には、認定しないこととする。
(1) 協会からの出資がある者。
(2) 協会の子会社(その発行済株式の総数の過半数に当たる株式を協会が有する株式会社又はその資本の過半に当たる出資口数を協会が有する有限会社をいう。その発行済株式の総数の過半数に当たる株式を協会及び子会社又は子会社が有する株式会社並びにその資本の過半に当たる出資口数を協会及び子会社又は子会社が有する有限会社で子会社とみなされるものを含む。以下同じ。)又は関連会社(協会又は子会社がその議決権の100分の20以上100分の50以下を実質的に所有し、かつ、協会が人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、財務及び営業の方針に対して重要な影響を与えることができる会社をいう。以下同じ。)が、その議決権の100分の3以上を有する者。
(3) 子会社又は関連会社の役員(監事、監査役又はこれらに準ずる者を除く。以下この号において同じ。)を兼ねる者の総数(申請者が営利を目的とする団体以外の場合にあっては、協会の会長、副会長若しくは理事又は子会社若しくは関連会社の役員を兼ねる者の総数とする。)が、その役員の総数の5分の1を超えている者。


(4) 子会社又は関連会社の役員(監事、監査役又はこれらに準ずる者を除く。)が、その代表権を有する役員又は常勤の役員(監事、監査役又はこれらに準ずる者を除く。)を兼ねる者(申請者が、営利を目的とする団体以外の場合にあっては、協会の会長、副会長若しくは理事又は子会社若しくは関連会社の役員(監事、監査役又はこれらに準ずる者を除く。)が、その代表権を有する役員又は常勤の役員(監事、監査役又はこれらに準ずる者を除く。)を兼ねる者。)。
(5) その他協会が放送番組制作に必要な資料等の供給や職員の派遣において、社会通念上相当とされる範囲を超えて支援を行っている者。

4 比較審査基準
  審査基準第7条各号に適合する委託放送事業者に指定することのできる周波数
が不足する場合においては、審査基準第8条により、審査基準第7条第1号から第4号までに適合する度合いからみて最も公共の福祉に寄与するものが優先すると規定されているが、BS−4後発機における委託放送業務の認定に係る審査基準第8条の運用においては、既に審査基準に規定されている事項のほか、以下のとおりとする。
(1) 幅広い視聴者層への番組の提供について(審査基準第7条第4号関係)
   BS−4後発機においてデータ放送に使用できる周波数資源が12スロットと限られたものであること等を考慮し、例えばBS放送の特性の一つである全国放送にふさわしい内容を委託放送事項とするなど、その放送の対象となる視聴者層がより大きい申請者の方が、対象視聴者層が相対的に小さい申請者よりも適合的であると判断する。
(2) 多様な番組の提供について(審査基準第7条第4号関係)
  BS−4後発機においてデータ放送に使用できる周波数資源が12スロットと限られたものであること等を考慮し、BS−4後発機によるデータ放送全体として視聴者に対して、特定の分野に偏らず多様な番組が提供されることとなるよう配慮する。
(3) マスメディア集中排除原則の適用について(審査基準第7条第3号関連)
  委託して放送させることによる表現の自由ができるだけ多くの者によって享有されるようにするという放送法の趣旨が活かされるよう、既存の放送事業者(既にBS−4後発機を用いたデジタル放送の委託放送業務の認定を受けている者を含む。以下同じ。)、及びこれら既存の放送事業者を「支配」する者又は既存の放送事業者に「支配」される者(以下「既存放送事業者等」という。)が保有する議決権の合計又は既存放送事業者等との役員兼務の程度がより少ない申請者の方が、より多い申請者よりも適合的であると判断する。この際、既存放送事業者等が保有する放送系の数、放送番組の数、伝送容量(1秒当たりのシンボル数等)も勘案することとする。
(4) 業務開始時期について(審査基準第7条第4号関係)
   BS−4後発機においてデータ放送に使用できる周波数資源が12スロットと限られたものであることを考慮し、BSデジタル放送開始当初から相当程度遅い時点を委託放送業務開始の予定期日としている申請者は劣後すると判断する。



放送法改正に係る「データ放送」の取扱いの図


BS放送のチャンネル配列図


BS−4後発機によるデータ放送に係る委託放送業務認定の審査プロセスの図


意見募集に寄せられたご意見・ご要望に対する郵政省の考え方

1 データ放送の制度等に関する意見等 
主な意見・要望                                郵政省の考え方                          
(事業者が持てる最大伝送容量)                       
●既に22.5スロット認定された事業者の上限である1.5スロット(ジャパン・デジタル・コミュニケーションズ、ビーエス朝日、日本衛星放送)                
●超短波放送と併せ最低2スロットにしないと降雨減衰対策上変調方式の変更に対応 できない(全国朝日放送)                          
●3スロット以上は参入事業者の機会を奪うので2スロットが適当(テレビ朝日デー タ)                                    
●多様なサービスの提供のためには3スロット必要(番組情報データベースセンター )                                     
●最大24以内、映像22以内、音声1以内をふまえ1スロット(日本民間放送連盟 )                                     
●利用可能な範囲内で内容によって決めるべき(テレビ東京、ビー・エス・ジャパン)   
●できるだけ多くの事業者に割り当てることができるように設定すべき(日本新聞協会)                                    
●必要な伝送容量を利用できる枠組みを検討すべき、多岐多様な情報の提供が望ましいので制限をつけるべきでない(日本経済新聞社、ジャパン・スペースリンクなど)  
 
                                 
 BS−4後発機の周波数資源は4周波数、さらにデータ放送については12スロットと限られたものであり、放送することができる機会をできる 限り多くの者に対し確保するという放送法の趣旨が活かされるためには、データ放送についても一の者が保有する伝送容量に制限を設けることが必要である。
 また、一の者が保有する伝送容量を小さくすると多様なデータ放送サー ビスの発展の可能性を制限するおそれもある。            
 これらのことを考慮し、一の者につき最大3スロットに設定することと
した。                              
  
●データ放送事業への参入については言論・報道機関等既存メディアを排除すべきで ない(日本経済新聞社、日本新聞協会)                    
 データ放送に限らず、放送への参入については、言論報道機関等の既存
メディアであるか否かで判断しているのではなく、一の者によって所有又
は支配される放送系の数、放送番組の数又は伝送容量の多寡によって判断
している。 
●BS認定事業者とデータ放送のみの申請事業者で優劣を設けるべきでない(ジャパン・デジタル・コミュニケーションズ)                            
●BS各事業者の参入を認める(朝日新聞社)                 
  
 既に認定を受けたBS委託放送事業者がデータ放送へ参入することは、
制度上可能としており、申請があれば定められた審査基準及び認定方針に
基づき審査することとなるが、今回諮問した認定方針により比較審査とな
った場合には、放送する機会をできるだけ多くの者に確保するとの放送法
の趣旨が活かされるよう、これら既存事業者は劣後することとしている。
     
●外資の間接出資に対する規定を明確化することが望ましい(ビーエス日本、日本テレビ)                                     ご要望として承っておきたい。                  
                                 


2 データ放送に関する意見等
主な意見・要望                                郵政省の考え方                          
●映像番組連動型データ放送のような新しい放送を促進するため等映像事業者に優先割当てすることが望ましい(ビーエス日本、NHK、日本テレビ、読売新聞社、東京放送、テレビ東京、ビー・エス・ジャパンなど)  先般国会で成立した放送法改正により、テレビジョン放送を行う委託放
送事業者が映像番組連動型のデータ放送を認定された伝送容量の範囲内に
おいて実施することは可能となる。                 
 ただし、映像番組連動型のデータ放送のための新たなスロットの追加に
ついては、新規に参入を希望する事業者も多く、周波数資源も限られてい
ることから、新規参入希望者に併せて申請を受け付けることとしており、
また、できるだけ多くの者に放送する機会を確保するという放送法の趣旨
を踏まえれば、テレビジョン事業者を優先的に取り扱うことは適当ではな
い。                               
●NHKが行うデータ放送は公共放送の目的に合った内容に限定すべきで、民間事業 者と競合するような性格のデータ放送は認めるべきでない(テレビ東、ビー・エス・ジャパン)                                   
●NHK及び関連会社の行うデータ放送は民間事業者に許される伝送容量の上限を超 えない、放送内容は非営利な番組関連情報などに限定すべき(ビーエス朝日、全国朝日放送、朝日新聞社、テレビ朝日データ)
●NHKのデータ放送は受信料の範囲内で行うべきであり、伝送容量をはじめ民間事業者を超えるような制度を設けない。また、関連会社等は実施すべきでない(東京放送、日本テレビ、ジャパン・デジタル・コミュニケーションズ、産経新聞社、日本経済新聞社、日本民間放送連盟)
●NHKの関連会社は公共放送充実のために認められているもので民間放送事業者と同列に扱うことは問題が多い(日本新聞協会)                  
 NHKの行うデータ放送の範囲については、関係者及び一般の方々から
意見募集を2回(1回目:H10.10.29〜H10.11.20、2回目:H11.1.23〜H11
.2.10)行い、それらの結果を踏まえ、NHKの基本的性格にふさわしいも
のを行うのが適当であるとする方針を本年4月に公表したところである。
 また、NHKと関連性のある団体の参入については認めない方針であり
、これについて今回電波監理審議会に諮問しているところである。   
●全局EPGは超短波事業者に認定された伝送容量では伝送できないので他のスロットで行われることを希望(BSJラジオ、エフエム東京、ミュージックバード、ジャパンエフエムネットワーク)  全局EPGについては、まず各委託放送事業者間において調整すること
が適当。 
●音声事業者に対しても応分のデータ放送用伝送容量を認定すべき(エフエム東京、ミュージックバード、ジャパンエフエムネットワーク)   既存のBS音声事業者についてもデータ放送への参入は可能としており
、データ放送の申請があった場合には、その認定に当たっては他の申請者
とともに定められた審査基準及び認定方針に基づいて審査することとなる
。 
●幅広く各種新規業態を認める、より多くの新規事業者がデータ放送に参入できる機会が与えられるよう要望(番組データベースセンター)             
                                      
                                      
 できる限り多くの者に放送する機会を確保するという放送法の趣旨が活
かされるよう審査基準等(今回諮問したものを含む。)が定められている
。 



3 サイマル空き容量の用途
主な意見・要望                                郵政省の考え方                          
                                      
●データ放送に使用(日本文字放送、ビーエス日本、NHK、ジャパン・デジタル・コミュニケーションズ、東京放送、ビーエス朝日、フジテレビ、ビーエスフジ、日本衛星放送、エフエムジャパン、朝日新聞社など)
●データ放送に使用し民間事業者に割り当てる(テレビ東京、ビー・エス・ジャパン、朝日新聞社、日本経済新聞社)
●データ放送に使用し新規参入事業者に割り当てる(東京放送、全国朝日放送、番組 情報データベースセンター)                         
●標準テレビジョン放送に使用(ウェザーニューズ、ジュピターサテライト)
                                      
 データ放送に使用すべきという意見・要望が多いこと、データ放送への
参入希望が多いこと等の状況を踏まえ、データ放送に使用することとした


4 その他衛星放送に関する意見等
主な意見・要望                                郵政省の考え方                          
●放送の種別を超えた柔軟な運用ができるようにすべき(テレビ東京、ビー・エス・ジャパン、ビーエス日本、NHK、ジャパン・デジタル・コミュニケーションズ、東京放送、ビーエス朝日、日本テレビ、全国朝日放送、エフエム東京、ミュージックバード、ジャパンエフエムネットワーク、朝日新聞社、日本民間放送連盟)
 現行制度では、周波数資源の有限性の観点から、委託放送事業者の認定
においては、放送の種別ごと、番組ごとに最低限必要な伝送容量だけを割
り当てることとしているため、この範囲を超えて各種別の放送を実施する
ことは認められないが、ご要望として承っておきたい。
周波数、スロット番号等割当は整理、見直すべき(ジャパン・デジタル・コミュニケーションズ、ビーエス朝日、全国朝日放送、テレビ朝日データ)  全委託放送事業者の同意があり、視聴者に悪影響を与えないものであれ
ば、各委託放送事業者間の調整による整理・見直しは可能である。
エンジニアリング・スロットを確保する(NHK、ビーエスフジ、フジテレビ)  周波数資源が限られていること、データ放送への参入希望が多いこと等
の状況を踏まえ、エンジニアリング・スロットをあらかじめ確保する必要
はない。



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