「精神疾患等の公務上災害の認定指針」について


平成11年7月
職 員 局
 
 人事院は、本日(7月16日)、「精神疾患等の公務上災害の認定指針(職員局長通知)」を発出した。

 近年、公務においては、職員が仕事上の悩み等からうつ病等の精神疾患に罹患し自殺等の自損行為に及んだのではないかと疑われる事案が増えてきている。また、民間企業においても同様な傾向があり、これらの問題は社会的にも注目を集めている。
 自殺事案については、原則として公務上の災害とは認められないが、それが公務上の災害に当たる場合もあることから、人事院では公務における自殺事案の発生状況等を踏まえ、遺族等に対する適正・迅速な補償の実施を促進するため、昨年、精神科医師等で構成する「精神疾患等の公務災害認定基準検討専門家会議」を設置し、精神疾患等の公務上災害の認定指針について専門家の意見を伺いながら検討を行ってきた。
 この度、その成案を得たので職員局長通知として発出したものである。
 
 

「精神疾患等の公務上災害の認定指針」の概要

 この指針は、例示疾患又は例示疾患に起因する自殺等の自損行為による死亡等を公務上の災害と認定する際の基本的な考え方等を定めたもので、その概要は次のとおりである。
 

  1. 業務によって発症する可能性のある精神疾患等を例示疾患として掲げたこと。
  2. 例示疾患を公務上の災害と認定するためには、例示疾患の発症前に業務に関連した過重な負荷を受けていたことが必要であることを定め、また、例示疾患を発症するに足ると思われる業務等を、困難な業務、緊張を強いられる折衝等の業務、業務に関連する異常な出来事等、項目ごとに分類して例示したこと。
  3. 自殺等の自損行為による死亡等は原則として公務上の災害とは認められないが、それが例示疾患に起因する場合は認められる場合があること、更に、例示疾患に起因する自殺等の自損行為による死亡等が公務上の災害と認定されるためには、2と同様に例示疾患の発症前に業務に関連した過重な負荷を受けていたことが必要であることを定めたこと。
  4. 精神疾患等に係る事案の認定に当たり、判断の基礎となる調査事項(災害の発生状況、業務従事状況、医師の所見、健康状況、私生活上の心配事等)を掲げ、これらの各事項を迅速かつ適正に調査すべきことを定めたこと。
  5. 精神疾患等に係る個別事案の認定に当たっては、取扱の統一を図るため人事院職員局に協議すべきこと等を定めたこと。
 

以  上

 

(資料1)

一般職国家公務員の自殺者数の推移


年  度
自 殺 者 数
平成元年度
108
平成2年度
117
平成3年度
108
平成4年度
104
平成5年度
109
平成6年度
96
平成7年度
104
平成8年度
105 
平成9年度
120

注:平成10年度は未調査である。
自殺者の総数であり、動機のいかんは問わない。







(資料2)

「精神疾患等認定基準検討専門家会議」委員名簿


座長  折橋洋一郎
  溝口病院副院長
  人事院健康専門委員
荒井  稔
  順天堂大学医学部精神医学臨床講師
  メンタルヘルス対策推進委員
伊藤 克人
  東急病院心療内科医長
隅谷 護人
  国立国際医療センター病院第3病棟部長
  人事院健康専門委員
丸山  晋
  淑徳大学社会学部教授
  前国立精神・神経センター精神保健研究所 社会復帰相談部長
  人事院健康専門委員
(座長を除き五十音順・敬称略)
戻る