政党助成法の概要

1 政党交付金

  1.  毎年の政党交付金の総額は、直近の国勢調査人口に250円を乗じて得た額(平成7年国勢調査人口(125,570,246人)により算出すれば、約314億円)を基準として予算で定められる(法第7条)。
  2.  国は、政治活動の自由を尊重し、政党交付金の交付に当たっては、条件を付し、又はその使途について制限してはならないものとされている(法第4条第1項)。
  3.  政党は、政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公正なものとするとともに、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を使用しなければならないものとされている(法第4条2項)。このため、政党交付金の使途報告の制度が設けられている(6参照)。
2 政党交付金の交付の対象となる政党

  1.  政党交付金の交付の対象となる政党は、次のうちいずれかに該当する政治団体(法第2条)
    1.  衆議院議員又は参議院議員を5人以上有するもの
    2.  衆議院議員又は参議院議員を1人以上有し、かつ、次のいずれかの選挙において全国を通じた得票率が2%以上であるもの
       ◇前回の衆議院議員総選挙における小選挙区選挙
       ◇前回の衆議院議員総選挙における比例代表選挙
       ◇前回又は前々回の参議院通常選挙における比例代表選挙
       ◇前回又は前々回の参議院通常選挙における選挙区選挙
  2.  ただし、実際に政党交付金の交付を受けるに当たっては、「政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律」の規定に基づいて法人となっていることが必要(法第11条第2項)

※政党の法人格の取得
 Aの要件を満たす政党は、「政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律」により、中央選挙管理会に届出をし、その確認を受け、主たる事務所の所在地で登記することにより、法人となることができる。

3 各政党の政党交付金の額の算定

  1.  政党の届出(4参照)がされた政党について、毎年1月1日(基準日)現在により、所属国会議員の数や得票率に応じて次の表の計算方法によりそれぞれの政党に対してその年に配分すべき政党交付金の額を算出し、交付(法第8条)

    区   分政党への政党交付金の配分額の計算
    議 員 数 割
    (政党交付金総額の1/2)
    議員数割         その政党の国会議員数
          ×  ――――――――――    (1)
    (1/2)    政党の国会議員数の合計
    
    得票数割衆議院議員
    総 選 挙
    (前回)
    小選挙区
    選  挙
    得票数割 × 1/4 × 得票率     a
    (1/2)
    
    比例代表
    選  挙
    得票数割 × 1/4 × 得票率     b
    (1/2)
    
    参議院議員
    通常選挙
    (前 回)
    (前々回)
    比例代表
    選  挙
    得票数割           得票率の平均
          × 1/4 ×              c
    (1/2)         (前回・前々回)
    
    選挙区
    選 挙
    得票数割          得票率の平均
             × 1/4 ×              d
    (1/2)              (前回・前々回)
    
    得票数割計a〜dの計     (2)
    政党への政党交付金の配分額 (1)+(2)

  2.  総選挙又は通常選挙が行われた場合は、その年分として各政党に対して交付すべき政党交付金の額は、月割計算により算定(法第9条)

    (例) 総選挙又は通常選挙が施行され、選挙基準日が8月になった場合
    
      ┌1月〜8月の┐   ┌基準日(1月1日)現在で、「a」により┐     1
      |      | = |                   | ×  ───  A
      └ 月割額  ┘   └算出した額              ┘      12 
    
      ┌9月〜12月の┐   ┌選挙基準日(8月)現在で、「a」により┐     1
      |       | = |                   | ×  ─── B
      └ 月割額   ┘   └算出した額              ┘      12 
    
    [各政党に対して交付すべき政党交付金の額]= A × 8 + B × 4

    (例) その後、さらに総選挙又は通常選挙が施行され、選挙基準日が10月になった場合
     [1月〜 8月の月割額]= A
     [9月〜10月の月割額]= B
    
      ┌11月〜12月の┐   ┌選挙基準日(10月)現在で、「a」により┐     1
      |        | = |                    | ×  ─── C
      └  月割額   ┘   └算出した額               ┘      12
    
    [各政党に対して交付すべき政党交付金の額]= A × 8 + B × 2 + C × 2

*選挙基準日
 選挙後若しくは通常選挙の翌日 ┐ 
      又は        | のうちいずれか遅い日
 これにより選出された     |
 改選後の国会議員の任期の初日 ┘

 ◇任期満了前に選挙が行われた場合

 ◇任期満了後又は解散後に選挙が行われた場合

4 政党の届出

  1.  政党交付金の交付を受けようとする政党は、毎年1月1日(基準日)現在における次に掲げる事項を、基準日の翌日から起算して15日以内に、自治大臣に届け出なければならない(法第5条第1項)。
    1.  名称(略称を用いている場合には名称及びその略称)
    2.  主たる事務所の所在地
    3.  代表者、会計責任者及び会計責任者の職務代行者の氏名等
    4.  会計監査を行うべき者の氏名等
    5.  所属する衆議院議員又は参議院議員の氏名等
    6.  前回の総選挙並びに前回及び前々回の通常選挙におけるその政党の得票総数
    7.  支部の数、名称及び主たる事務所の所在地等
    8.  その他

    この届出には、次の文書を併せて提出するものとされている(法第5条第2項)。

    1.  綱領その他の当該政党の目的、基本政策等を記載した文書
    2.  党則、規約その他の当該政党の組織、管理運営等に関する事項を記載した文書
    3.  所属する衆議院議員又は参議院議員として記載されることについての承諾書等
    4.  その他

  2.  総選挙又は通常選挙が行われた場合には、政党交付金の交付を受けようとする政党は、選挙基準日現在における(1)に掲げる事項を、選挙基準日の翌日から起算して15日以内に、自治大臣に届け出なければならない(法第6条)。

  3.  政党の届出がない限り、政党交付金の交付の対象となる政党としての要件を満たしていても、政党交付金は配分されない。

  4.  届出が行われた事項は、官報により告示される(法第5条第4項)。

  5.  政党の届出書は、添付文書も含めて、官報による告示の日から5年間、自治省で閲覧できる(法第32条第4項)。

5 政党交付金の交付手続

  1.  自治大臣は、国の予算の成立後、政党の届出に基づき、各政党に対して交付すべき政党交付金の額を算定し、交付決定(又は変更決定)を行うとともに、これを各政党に通知し、官報により告示する(法第10条)。

  2.  自治大臣は、各政党に対して交付すべき政党交付金を、4月にその4分の1を、7月に残額の3分の1を、10月に残額の2分の1を、12月に残額を、その政党に対して交付する(法第11条第1項)。
     ただし、政党は、交付の都度、法人となっている旨を証する登記簿の謄本又は抄本(2(2)※参照)を添えて自治大臣に請求するものとされており、交付決定があったとしてもこの請求がない限り、政党交付金は交付されない(法第11条第2項、第3項)。

6 政党交付金の使途等の報告

  1.  政党の本部の会計責任者は、政治資金規正法に規定する会計帳簿とは別に、政党交付金に係る会計帳簿を備え、政党交付金による支出等について記載しなければならない(法第15条第1項)。

    ※政党交付金による支出

  2.  政党の支部(1以上の市区町村の区域又は選挙区の区域を単位として設けられるものに限る。以下同じ。)の会計責任者は、政治資金規正法に規定する会計帳簿とは別に、支部政党交付金に係る会計帳簿を備え、政党の本部又は他の支部から支給された支部政党交付金による支出等について記載しなければならない(法第16条第1項)。

    ※支部政党交付金

    ※支部政党交付金による支出

  3.  政党の本部の会計責任者は、12月31日現在で、その年における次に掲げる事項を記載した報告書を、その日の翌日から起算して3月以内(その間に総選挙又は通常選挙があった場合には、4月以内)に、自治大臣に提出するものとされている(法第17条第1項)。
    1.  政党交付金の総額、交付を受けた金額及び年月日
    2.  政党交付金による支出の総額及び項目別の金額、人件費・光熱水費以外の経費に係るもので1件当たりの金額(数回にわたってされたときは、その合計金額)が5万円以上のものの支出先、支部政党交付金の金額等
    3.  政党基金の残高等
       この報告書と併せて次の書類を提出しなければならない(法第17条第2項)。
      (1)監査意見書及び監査報告書
      (2)領収書等の写し等
      (3)支部から提出を受けた支部報告書及び監査意見書
      (4)支部報告書の記載事項を集計した総括文書
      (5)本部の報告書及び支部報告書の記載事項を集計した総括文書

    ※監査意見書・監査報告書
     政党本部の報告書には、政党内部の監査を行うべき者の監査意見書と公認会計士又は監査法人がその監査に基づき作成した監査報告書を添付しなければならない。
     また、政党の支部が政党の本部及び都道府県選挙管理委員会に提出する支部報告書には、監査を行うべき者の監査意見書を添付しなければならない。

  4.  政党の支部の会計責任者は、12月31日現在で、その年における政党の本部の報告書に準じて作成した支部報告書を、その日の翌日から起算して2月以内(その間に総選挙又は通常選挙があった場合には、3月以内)に、支部政党交付金を支給した政党の本部又は支部の会計責任者に提出しなければならない(法第18条第1項)。
     支部報告書と併せて次の書類を提出しなければならない(法第18条第2項)。
    1.  監査意見書
    2.  領収書等の写し等
    3.  この支部から支部政党交付金の支出を受けた他の支部から提出を受けた支部報告書及び監査意見書
    4.  この支部から支部政党交付金の支出を受けた他の支部から提出を受けた支部報告書の記載事項を集計した支部総括文書

     政党の支部の会計責任者は、支部報告書を政党本部に提出したときは、提出した日の翌日から起算して7日以内に支部報告書、監査意見書、支部総括文書を、その支部が所在する都道府県の選挙管理委員会に提出しなければならない(法第18条第3項)。

  5.  自治大臣は、政党から提出を受けた報告書、支部報告書、総括文書の要旨を、官報により公表する(法第31条)。(政党の解散等に際し提出された報告書等についても同様である。)

  6.  政党から提出された報告書、監査意見書・監査報告書、支部報告書及び支部報告書についての監査意見書、総括文書は、官報による公表が行われた日から5年間、自治省で閲覧することができる(法第32条第4項)。
     また、政党の支部から都道府県選挙管理委員会に提出された支部報告書、監査意見書、支部総括文書は、官報による政党の報告書等の公表が行われた日から5年間、都道府県選挙管理委員会で閲覧することができる(法第32条第5項)。

  7.  自治大臣は、政党が(3)(4)により提出すべき報告書等を提出しないときは、その政党に対して交付すべき政党交付金の全部又は一部の交付を停止することができる(法第34条第1項)。

7 政党の解散・合併・分割等

 政党が解散し、若しくは目的の変更等により政治団体でなくなり、又は政党交付金の交付の対象となる政党としての要件を満たさなくなった場合は、その政党の代表者であった者は、原則としてその日の翌日から起算して15日以内に自治大臣にこれを届け出なければならない(法第21条第1項)。
 この場合、解散等をした政党に対しては、未交付の政党交付金は、交付しないものとされるが(法第22条)、ただし、次の場合には、それぞれのとおり 政党交付金又は特定交付金の交付が行われる。

  1.  2以上の政党が合併した場合については、次の特例が適用される。

  2.  政党の分割が行われた場合については、次の特例が適用される。

  •  政党が政党交付金の交付の対象とならない政治団体となった場合は、政党の要件に該当しない政治団体となった日の属する月までの月割分は、特定交付金として、既交付の政党交付金に加え、その政治団体に交付する(法第27条第1項)。
     なお、政党が解散し、又は目的の変更等により政治団体でなくなった場合は、その政党の会計責任者であった者は、その年における政党交付金の使途等について、4に準じて自治大臣に報告するものとされている(法第28条第1項)。

    (参考)合併について
    合 併(新 設)合 併(存 続)
    政党の異動
    その年(選挙が
    ない場合)の政
    党交付金
    C党分=旧A党分の残額 + 旧B党分の残額 A党分=当初のA党分 + 旧B党分の残額
    翌年以降(選挙がない場合)の政党交付金議員数割
    
                  A+B
    C党分=議員数割総額 × ───────
                 全政党の議員数
     
                  A+B
    A党分=議員数割総額 × ───────
                 全政党の議員数
    得票数割 C党分=得票数を

      (旧A党分の得票数+旧B党の得票数)
       として算出した額
    A党分=得票数を

      (A党の得票数+旧B党の得票数)
       として算出した額
     (注)各政党が政党要件を満たす場合。


    (参考)分割・分派について
    分割(特例あり)分派(特例なし)
    政党の異動
    その年(選挙が
    ない場合)の政
    党交付金
                   b
    B党分=旧A党分の残額 × ────
                  b+c
    
                   c
    C党分=旧A党分の残額 × ────
                  b+c
    A党のみ政党交付金を受ける。
    翌年以降(選挙がない場合)の政党交付金議員数割
                   b
    B党分=議員数割総額 × ───────
                 全政党の議員数
    
                   c
    C党分=議員数割総額 × ───────
                 全政党の議員数
     
                  b
    A党分=議員数割総額 × ───────
                 全政党の議員数
    
                   c
    C党分=議員数割総額 × ───────
                 全政党の議員数
    得票数割
    B党分=得票数を
                   b´
      旧A党分の得票数 × ──────
                 b´+c´
      により算出した額
    
    C党分=得票数を
                   c´
      旧A党分の得票数 × ──────
                 b´+c´
      により算出した額
                b´+c´はそれぞれB党または
                C党に所属する国会議員のうち、
                A党所属候補者として選出された
                者の人数である。
    A党分=A党の得票数により算出した額

    C党分=なし

     (注)分割・分派において各政党が政党要件を満たす場合。

    8 政党交付金の返還等

    1.  自治大臣は、政党が政党助成法の規定に違反して政党交付金の交付の決定を受けた場合には、当該政党交付金の全部又は一部の交付を受けていないときにあってはその交付を停止し、既に交付を受けているときにあっては期限を定めて返還を命ずることができる(法第33条第1項)。

    2.  自治大臣は、政党交付金の交付を受けた政党が、その年における政党交付金、支部政党交付金、政党基金・支部基金の取り崩しによる金銭等のすべてを政党交付金による支出、支部政党交付金による支出に充てなかったとき等は、その残額の返還を命ずることができるものとされている。

    3.  政党が解散等をした場合には、これと同様に算出した残額に政党基金・支部基金残高を加えた額の政党交付金の返還を命ずることができるものとされている(法第33条第2項)。

    9 その他

    1.  自治大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、提出された届出書類、報告書等に形式上の不備があり、又はこれらの記載が不十分であると認めるときは、その提出をした者に対して、説明を求め、又はその訂正を命ずることができるものとされている(法第37条)。

    2.  政党が偽りその他不正な行為により政党交付金の交付を受けた場合や政党交付金の使途等に関する報告書・支部報告書の不提出があった場合等に関しては、罰則の定めがある(法第43条〜48条)。

    3.  政党交付金の総額については、政党助成法施行後5年を経過した場合において見直しを行うものとされている(法附則第6条)。


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