目 次


世界無線通信会議とは


 1992年12月ジュネーブで開催されたITUの追加全権委員会議において、ITUの組織に無線通信、標準化、開発の3セクター制を導入する大幅な組織再編成が行われた。その際に、従来の世界無線通信主管庁会議(WARC)の業務を引き継ぐものとして世界無線通信会議(WRC:World Radiocommunication Conference)が設置された。
 WRCは、各周波数帯の利用方法、衛星軌道の利用方法、無線局の運用に関する各種規定、技術基準等をはじめとする国際的な電波秩序を規律する無線通信規則(RR)の改正を行うための会議であり、各国主管庁及びITUに登録している事業者等の関係団体が出席し、通常2〜3年ごとに開催される。
 また、各国は、WRCの決定に基づいて、国内の各周波数帯の利用方法などが決められる。
 近年では、以下のとおりWARC及びWRCが開催されている。

会 議 名 開催年 会 議 の 概 要
WARC−92
 
 
 
 
 
 
(ITU機構改革)
1992年
音声衛星放送のための周波数分配
広帯域HDTV衛星放送のための周波数分配
移動衛星業務(非静止衛星システム)の周波数分配
FPLMTSのための周波数分配
HFBCのための周波数分配
GMDSS用従事者資格の見直し
WRC−93 1993年
WRC−95の議題の決定
WRC−95 1995年
RRの簡素化(一部)
固定衛星業務(非静止衛星システム)の周波数分配
移動衛星業務(非静止衛星システム)のフィーダリンクの周波数分配
放送衛星プランの見直しのための準備
HFBCの手続きの見直しのための準備
WRC−97 1997年
RRの簡素化(WRC−95の残り)
海上移動業務の規定の見直し
HFBCの手続きの見直し
放送衛星プランの見直し
宇宙・科学業務の周波数分配
移動衛星業務及び固定衛星業務の周波数分配
その他の周波数分配等(成層圏無線中継システムへの周波数分配、スプリアス規定値の見直し等)
ペーパー衛星対策

(参考)
 無線通信規則に規定される主な事項を次に示す。
(1)  周波数分配
世界を第一地域(欧州、アフリカ、ロシア)
   第二地域(南北アメリカ)
   第三地域(アジア、オセアニア)
に分け、9KHz-275GHzの周波数帯を各無線業務に分配。
(2)  周波数の使用に関する国際的な手続
衛星の軌道・周波数の調整、登録手続等
(3)  無線設備の技術基準
スプリアス規定値、各無線業務間の共用条件等
(4)  無線局の運用方法
遭難・安全通信の通信方法、聴守義務等